花咲徳栄・野村佑希はマン振りせず58本塁打。仰天練習で体力強化した (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 夏の甲子園連覇がかかり、「優勝旗を全員で返しに行こう」と絶対優勝を義務づけられた北埼玉大会は、「点を取られちゃいけないと思って、投手の方に比重を置きすぎました」と、ホームランは0本だったが、甲子園では鳴門戦、横浜戦と2試合連発で実力を見せた。

「1本目は集中していて、打った球がわからなかった。何の球種かもわからなかったんです。西川(愛也/現・西武)さんが2年春のセンバツで外のボール球を左中間に持っていった打席があるんですけど、その時のことを『何打ったかわからないぐらい集中していた』と言ってたんです。自分でもそうなってみたいと思っていて、そうなれたので、そういう意味でもうれしかった」

 ただボールだけを見て、ボールをとらえることに集中した。その結果がホームラン。そこに「思い切り振ってやろう、大きな打球を打ってやろう」という"マン振り"の意識はかけらもない。それでも、甲子園での4発を含む高校通算58本塁打を量産したところが、野村の魅力だ。

「(2年先輩の岡崎大輔/現・オリックス、1年先輩の西川ら)先輩を見ていると、どう考えてもプロですぐに試合に出るのは難しい。徳栄に来た時も、すぐじゃない。土台をつくってから打てるようになった。そこはプロでも変えずに、焦らないでやりたい。最終的には、高校でなれなかった日本代表になりたいです」

 野村の好きな言葉は"進化"。

「入った時は、プロに行くならピッチャーだと思っていました。バッターでは想像してなかった」

 高校では、自分でも予想しないほどの成長を見せた。だが、まだまだ進化の過程。どこまで伸びるのか、可能性は無限大。焦らず、コツコツ、上を目指していく。

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