落合博満が最後のひと押し。常識を覆したバットは柔らかくても飛ぶ (4ページ目)

  • 井上幸太●取材・文 text by Inoue Kota
  • photo by Kyodo News

 ビヨンドマックスの大ヒットを受け、他の大手メーカーも打球部がウレタン素材でできた複合バットの開発に力を注いでいる。スポーツショップには、それらのバットがズラリと並び、さながら「複合バット戦国時代」と呼べるような状況に突入している。木田は、この状況についてどう感じているのか。

「各社が、それぞれ特徴を出した製品を作っているので『負けていられないな』という気持ちは常にあります。ですが、こういった『飛ばすなら、打球部にウレタン素材を使った複合バット』というひとつの流れを生み出せたことがうれしいですね。

 ユーザーの方々が、複合バットの総称として"ビヨンド系"という呼び方をして"元祖"として受け入れてくださったり、『色々なメーカーが出しているけど、ミズノのバットが一番安心』と信頼を寄せてくださるのは、メーカーにとっての誇りでもあります。こういった積み上げた実績と信頼を裏切らないものを、これからも生み出していきたいと思います」

 2002年の販売開始後から幾多のモデルチェンジを経て、現在は最新モデル「ビヨンドマックス ギガキング」が店頭に並ぶ。開発時に試行錯誤が続いた打球部には、新素材のフラルゴPUフォームを採用するなど進化を遂げ、通常の金属バットに比べ23%の飛距離アップを実現した。独特の打感で好き嫌いが分かれた初期のビヨンドマックスに比べ、金属バットに近い打感にもなっている。

 現在の軟式野球のトレンドとも言える存在となったビヨンドマックス。多くのユーザーに対して木田は、こうメッセージを寄せた。

「やっぱりバッティングは『飛べば飛ぶほど面白い』ものだと思います。もっとバッテイィングをよくしたい、試合で長打を打ちたいという野球経験者の方だけでなく、これから野球を始める方にもぜひ手に取っていただきたいです。打てる、飛距離が出ることで、野球に親しむきっかけになるはずなので。ビヨンドマックスとの出会いが、より皆さんと軟式野球を近づける手助けとなれば嬉しいです」

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