2018.08.25

「あの頃の雰囲気に似てきた」
興南の名将が新チームにワクワクしている

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 大阪桐蔭の春夏連覇で幕を閉じた夏の甲子園100回大会。熱戦の余韻は続いているが、ほとんどの学校は新チームが動き出し、来年春のセンバツを目指し日々練習に励んでいる。そんななか、新チームにたしかな手応えを感じているのが、この夏の甲子園にも出場した沖縄・興南高校の我喜屋優(がきや・まさる)監督だ。

昨年の夏も甲子園のマウンドを経験している興南の2年生左腕・宮城大弥 大会期間中、試合がない日に割り当てられる2時間練習では、炎天下のなか、我喜屋監督自らノックバットを振り、普段の物腰の柔らかい話しぶりからは想像できない甲高い声で檄を飛ばしていた。

 副部長としてチームに帯同している砂川太コーチは言う。

「興南高校のグラウンドでのビリビリと電流が走るような雰囲気を、そのままこっちに持ってきているような感じがします。たしかに、あの頃がそうでしたよね」

 砂川コーチの言う”あの頃”とは、2010年の春夏連覇の1年前、つまり島袋洋奨(現・ソフトバンク)や我如古盛次(がねこ・もりつぐ/現・東京ガス)らが2年の時である。

 島袋らの代は2年春から4季連続で甲子園に出場したが、2年時はいずれも初戦敗退。春は富山商に0-2で敗れ、夏は今宮健太(現・ソフトバンク)擁する明豊に3-4でサヨナラ負けを喫した。

 ただ、富山商戦では島袋が19奪三振の好投を見せ、夏も真栄平大輝(まえひら・だいき/現・JR東日本)が今宮からホームランを打つなど、のちの主力となる下級生たちが経験を積んだ。

 多くの経験者を残したことが、偉業達成の大きな要因となったのは言うまでもない。ちなみに、この夏のチームは下級生レギュラー5人。「力があれば下級生でも迷いなく起用するのがウチの伝統」と言う我喜屋監督だが、たしかにスタメンの全体像はあの時の構成に近い。

 2年連続出場となった今大会では、2回戦で木更津総合に0-7と完敗を喫したが、土浦日大との初戦は6-2と快勝。技巧派の藤木琉悠(3年)と本格派の宮城大弥(2年)という両左腕エースによるリレーも鮮やかに決まり、ベスト8入りした2015年以来となる3年ぶりの甲子園勝利を挙げた。