清宮を全直球で空振り三振。「遠回り」独立リーガーの潜在能力がすごい (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 しかし、結果的に鎌田はこの時点で入団を辞退する。「今の時代、大卒の経歴はあったほうがいい」という判断だった。敬愛大では2年までに8勝をマーク。しかし、3年以降は故障もあり、まったく結果を残せなかった。

 一方、時を同じくして鎌田にとって身近な人間がNPBに進んでいた。小学生時代からの幼なじみであり、横芝敬愛の3年後輩でもある伊藤翔が高校卒業後すぐに徳島に入団。たった1年で急成長を見せ、西武にドラフト3位指名されたのだ。伊藤はルーキーながら今季8試合に登板(7月12日現在)するなど、将来を有望視されている。

「お互いの実家は2キロくらいしか離れていませんし、あいつにスライダーを教えたのは僕です。でも、今は完全に立場が逆転して、あいつに教えられる立場ですけどね」

 そう言って自虐的に笑う鎌田だが、言葉の端々から忸怩(じくじ)たる思いがあることは伝わってくる。大学に進んだことへの後悔を口にすることはない。その一方で、鎌田は「遠回り」という表現も使っていた。今の自分の立場に納得しているわけではない。

 大学を卒業する際、トライアウトリーグ時代を知る徳島関係者から誘いを受け、4年越しの徳島入団を果たす。そこで鎌田は腹を決めたという。

「同じ高校を出て、同じ徳島に入って、同じ背番号(14)をつけて......。絶対に伊藤と比べられるということは百も承知で来ています。NPBに入れるならなんでもいいです」

 前期リーグ戦では左ヒザを一時痛めた影響もあり、7試合の登板で1勝0敗、防御率4.21という成績に終わった。だが、鎌田にとっての正念場は秋のドラフトに向けた後期リーグにある。

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