センバツ地獄耳。プロ球団スカウトがささやくドラフト候補のナマ評価 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 また、186センチ97キロの巨漢外野手、日本航空石川の上田優弥もプロ注目の打者だ。

「バッティングは柔らかく、ミートのうまい選手。ただ、足と守備に不安があるから、評価は分かれるかもね」(B氏)

 投手でナンバーワンの評価を受けたのが、明徳義塾(高知)の市川悠太。サイドスローで最速146キロをマークする稀有(けう)な存在であることに加え、昨年秋は公式戦全10試合をひとりで投げ抜いた鉄腕だ。

「体の大きい(184センチ)サイドスローは使いようがある。左右にきっちり投げられるコントロールもあるし、スタミナもある。あとは変化球かな。もうひとつあれば、さらによくなるはず」(A氏)

 今大会最速の148キロをマークした松山聖陵(愛媛)の土居豪人(ひでと)は、188センチの長身から投げ下ろすストレートと将来性を高く評価された。

「サイズと強い球は才能。プロに入ったからといって身につくものではない。素材として面白いから、育成選手として育ててみたい」(C氏)
「背が高くて腕が振れる。プロがなんとかしなきゃいけないという素材」(D氏)

 創成館の184センチ左腕・川原陸も素材型の選手として評価を受けた。

「フォームに柔らかさがあるし、球持ちがいい。だから、ベースの上でボールが加速する感じがある」(パ・リーグ球団スカウトC氏)

 一方で、"二刀流"として話題になった中央学院(千葉)の大谷拓海はスカウトによって評価が分かれた。

「スタイル、バランスを見て、野手で鍛えた方がいいように感じた」(A氏)
「打者として魅力。野球選手としてやっていくなら野手じゃないかな」(D氏)
「ゆったり投げるから、打者はタイミングを外される。もっと体ができてくれば、ピッチャーとしてよくなる」(B氏)
「高校時代の飯塚(悟史/DeNA)に見えた。プレーのコツを知っている選手。今は体力もないし、出力が低いけど、体ができてくれば面白い存在になる」(C氏)

 あるスカウトは「超目玉はいないけど、昨年よりドラフト候補の数はいる」と言っていた。現時点で1位、もしくは上位指名確定の選手は多くないが、今後の成長次第では十分にその可能性もあるという。春から夏にかけての成長が楽しみだ。

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