メチャクチャ打つけど投げられない。西川愛也にドラフト指名はあるか (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「試合中、ギリギリ捕れるかなという当たりが飛んできて、ダイビングキャッチを試みたんです。特に痛みはなかったんですけど、おそらくそのときにダメになったんでしょうね。そのあと試合終盤になって、二塁にランナーがいる状況でレフト前にヒットが飛んできたんです。ホームを狙うランナーを刺そうと力を入れて投げたら、雷が走ったみたいな痛みを感じて......。紫色に内出血していて、腫れもひどかった。試合後、病院に行ったら筋断裂と言われました。痛みで寝られないし、いろんなものが終わったなと思いました」

 大胸筋は胸から肩にかけて広くつながっている筋肉で、断裂部分については「このあたりです」と言って、脇あたりを指した。野球界ではあまり聞かない症状だが、かつて楽天時代の田中将大が右大胸筋部分断裂に見舞われたことがあった。このとき田中はシーズン終盤に診断を受け、翌年には完全復帰を果たしたが、ケガの程度により回復するまでの時間も当然違ってくる。

 西川は昨年6月に復帰を果たしたが、「かなり怖さがある」と力を入れた送球はできず、投げるのは近距離のみと徹底した。バッティングに関しては、痛みが治まってからは普通にスイングすることができた。ただ、フォローで左手をバットから離すと激しい痛みが出ることがあり、最後まで左手を離さないことも徹底した。

 2年夏は、その状況のなかで4番・レフトとして試合に出場し、埼玉大会は22打数11安打、1本塁打、5打点。3回戦まで進んだ甲子園でも10打数6安打、4打点と能力の高さを見せつけた。

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