自らを鼓舞する「清宮語録」に見る、1年生からプロ決断までの2年半 (6ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

「やっぱり、ミスが出たら負けてしまう。野球の難しさを教えてもらいました。高校野球はこれで終わってしまいましたけど、準決勝で終わってまったということは、『これで終わりではない。まだ次があるんだぞ』と野球の神様に言ってもらっていると思ってやりたいと思います」

 カナダ・サンダーベイで開催されたU18W杯でも、清宮は主将となって、チームを悲願の世界一に導こうと奮闘した。

 2年前と同様、全9試合で4番に立ち、32打数9安打6打点(打率.219)。2本塁打を記録し、高校通算本塁打を「111」にまで伸ばしたが、数字以上に海外選手の力のあるボールにどん詰まりするシーンが目立った。

「あまり気にしないようにしていましたが、結果を見れば違いはあったのかな、と。ちゃんと当たれば飛ぶんだけど、打ったと思った当たりが詰まったり......。慣れの問題だと思います」

 入学直後から試合に出場し続け、最後も高校日本代表に選出された。誰より濃密な2年半を過ごした清宮は、カナダの地でようやく将来について言及した。

「海外選手は体が大きいし球も速いしスイングも速い。こういう選手たちとやるのは楽しいし、夢がある。自分はメジャーの雰囲気がものすごく好き。将来はこっちに来て野球をやりたいな」

 あくまで個人的な印象ではあるが、試合で本塁打を放ち、威勢のい言葉を発する清宮よりも、敗れた直後に、「いつかこの負けがあったから成長できたと言えるように」と、必死に前を向こうとする姿が最も印象に残っている。

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