自らを鼓舞する「清宮語録」に見る、1年生からプロ決断までの2年半 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

 1年から早実の中軸を任された清宮は西東京大会を勝ち抜き、子どもの頃から憧れだった甲子園出場を果たす。初戦(1回戦)の相手は、愛媛の今治西。その試合の初ヒットが、タイムリーとなった。

「甲子園はやっぱり"格"が違いますね。ヒット本ぐらい打たなきゃ"示し"がつかない」

 聖地での初本塁打は3回戦の東海大甲府戦だった。感想を求められた清宮はこう語った。

「打った瞬間、いったなと。映画みたいに、ちょっとの時間、空白があって、ワーッという大歓声が一気に聞こえてきた。想像していた光景とは、違ったかな」

 ホームランボールは東京から来た学生が拾い、試合後、清宮の元に戻ってきた。

「わざわざ東京から来ていただいて。遠いのに、うれしいです(笑)」

 試合を重ねるごとに自信を深め、こう豪語していた姿が印象に残る。

「打てないときというのは、自分のスイングが崩されているということ。自分の形が崩れないことを心がければ、相手に関係なく打てると思っている」

 しかし、早実にとって2006年以来の全国制覇の目標は、準決勝で佐藤世那(現・オリックス)のいた宮城・仙台育英に絶たれる。ベンチから引き上げる際、清宮は甲子園のバックスクリーンを見やりながら、涙を拭った。

「甲子園が見送ってくれているような気がして。ありがとうという気持ちでした。だけど、僕はこんなもんじゃないんで......。もっとできると思っていた。ここまで来て、負けるという経験はあまりないので、ほんとに、ほんとに悔しいです」

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