名コーチが論証。清宮、中村が打てなかった原因は木製バットじゃない (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 確かに、普段見たこともないような球をいきなり打てという方が酷かもしれない。ただ、プロとなれば話は別だ。いきなり高校生にプロレベルの話をするのは現実的ではないが、彼らのバッティングを見る限り、相当苦しむだろうなというのが率直な感想だ。

 もうひとつ感じたのが、140キロ台後半のボールへの対応のまずさだ。聞けば、今回のW杯では147キロ以上のボールに対して、日本の打率は1割にも満たなかったという。それもそのはず、ほとんどの打者が差し込まれ、詰まらされていた。特に高めの速い球は、まったく慣れていない印象を受けた。

 捉えたと思ったスイングでもファウルになったりしていた。ひと言でいえば、力負けだ。今どきの高校生なら、140キロ台後半を投げる投手はいくらでもいる。ただ、外国人投手との違いは、球質である。特にアメリカの投手は、速くて、重く、そして不規則に動く。慣れもあるだろうが、対応に苦しんでいた。清宮くんに関しては、あの体格だから力負けしないと思っていたが、ファウルが精一杯だった。

 これは清宮くんに限ったことではないが、打てないのなら、ほかに対応策はなかったのか。たとえば、バントの構えをする打者は何人かいたが、結局、かき回すほどの攻撃はしなかった。差し込まれているなら、バットを短く持つという手段もあるのだが、それをしている選手は皆無だ。普段通りのバッティングに徹することは大事だが、結果が出ない以上、次の策を講じるのは当たり前の話である。プロの世界で生き抜くには、そうした切り替えも必要になってくる。そこは肝に銘じておいてほしい。

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