衝撃の5連続三振。早実・清宮幸太郎に何が起きたのか? (5ページ目)
「余裕がないなと感じます。間(ま)とか。あとはボールが見えていないのかなと。精神状態はそんなに悪くないんですけど、前に突っ込んじゃっていることもありますし、いろんな原因があると思います」
清宮の打席を横から見ていると、軸足への体重の乗り方が浅く、投手方向へ体重移動を始めるタイミングが早いように見えた。タイミングが合わないと前足の着地が早くなり、右腕一本でスイングするしかなくなる。「フルスイングができない」というより、「フルスイングができるボールの呼び込み方ができていない」という表現のほうが適切だろう。
11月11日からは明治神宮大会が始まる。早実の初戦は12日の静岡戦だ。清宮は「それまでに自分の調子を戻して、チームに貢献したい」と語った。
しかし、調子が悪かったと言いつつも、今秋の清宮は8試合で4本塁打を放っている(ブロック予選を含む)。高校通算74本塁打を放っている怪物の存在感は大きく、他の選手へのマークを軽減する役割も果たしていた。
そして、いまの清宮がもっとも大事にしているように見える「キャプテンシー」は、もはや文句のつけようがない。今秋、先発メンバーに1年生が5人も連なった早実だが、彼らが実力を発揮できたのも清宮ら上級生による配慮が大きい。和泉監督も「みんなが力を出しやすい雰囲気を上級生がつくってくれている。早実の伝統になった」と誇らしげに語っていた。
もはや、「清宮を抑えれば勝てる」というチームではなくなった。このチームに清宮の本来の打棒が加わったら......。春に向けて、早実打線はますます手がつけられなくなっていくだろう。
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