衝撃の5連続三振。早実・清宮幸太郎に何が起きたのか? (2ページ目)
一方、清宮から5三振を奪った櫻井は、試合後に涙を流すこともなく、淡々と報道陣の質問に答えていた。
「いくら三振を取っても、勝てなければしょうがないです。自分もチームも甘さがありました。清宮くんには、最初の打席から『長打さえ打たれなければ大丈夫』と思っていました。2ストライクと追い込んでからは、勝負しないと......と。自分はキャッチャーのサイン通り、ミットを目がけて投げただけです」
櫻井は最速144キロをマークする本格派左腕。そして、この日に投げた球種はストレートとスライダーだけだった。持ち球にはチェンジアップもあるが、精度に不安があったため早実戦では1球も使わなかったという。
捕手の津原瑠斗(りゅうと)は、「早実が関東一に勝ったあたりから、対策をずっと考えていた」と打ち明ける。特にマークしていたのは、3番・清宮、4番・野村のクリーンアップだった。そして清宮に対しては、こんな攻略法を固める。
「第1打席の初球は、絶対にインコースの真っすぐでいこう」
勝負にいく球ではなく、投げるのはボールゾーンでいい。そのときの清宮の反応を見て、勝負球を外角のストレートにするか、スライダーにするか判断するつもりだったという。その初球のストレートに対して、清宮はこんな反応を示した。
「清宮の体が、若干引き気味になったんです。この反応を見て、『全部スライダーでいこう』と思いました」(津原)
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