ドラフト下位指名で、スカウトたちが秘かに狙う「7人の隠し玉」

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Jiji Photo Press

 ドラフトが目前に迫っている。10月6日に「プロ野球志望届」の提出が締め切られたが、今年は高校生105人、大学生111人が志望届を出した。

 例年、「志望届」を出す選手は高校生の方が多いのに、今年は大学生がそれを上回った。大学生の、特に投手に好素材が多いという今年の傾向がはっきりと反映された数字だと思う。ちなみに、社会人野球の選手たちは「志望届」の制度はなく、指名拒否の場合は選手側から12球団に伝えられるようだが、これは公表されない。

春夏連続して甲子園に出場した市立和歌山のエース・赤羽陸春夏連続して甲子園に出場した市立和歌山のエース・赤羽陸 今年も多くのドラフト候補たちがいるが、そのなかから新聞や雑誌であまり取り上げられていないものの、将来性を高く評価したい選手たちがいる。

 まずは投手から。今年の北海道の大学球界には、快速サイドハンドの水野滉也(東海大北海道)が上位で指名されそうだが、実力的に勝るとも劣らないのが吉田雅貴(函館大/右投左打)だ。

 水野が今年の大学野球選手権に出場して、2試合続けて快投したのに対して、吉田は全国のマウンド経験もなく、無名の存在に近い。しかし、彼のピッチングを見ていると、中継ぎとして貴重な働きを続ける谷元圭介(日本ハム)のアマチュア時代(中部大→バイタルネット)の投げっぷりとダブる。

 167センチの谷元ほどではないにしても、大型投手が揃う大学球界で174センチの吉田は小柄な部類に入る。

 それでもコンスタントに145キロ前後をマークするストレートを軸に、真横に吹っ飛んでいくような切れ味のいいスライダーにカットボール、さらにタテに鋭く沈むボールはスプリットだろうか。

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