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春夏連覇のキーマン。智弁学園・太田英毅が秘める「圧倒的能力」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 試合前から、その2年生は晴れ晴れとした笑顔を見せていた。

「これまでどの大会でも自分の思ったプレーができていないので、3年生とできる最後の夏くらいは力を出して、春夏連覇したいですね」

出雲高戦で先制の2ラン本塁打を放った智弁学園・太田英毅出雲高戦で先制の2ラン本塁打を放った智弁学園・太田英毅  太田英毅、高校2年生。岡本和真(巨人)、廣岡大志(ヤクルト)と2年連続でドラフト上位指名の右打者を輩出している智弁学園(奈良)で、その系譜に連なる可能性を秘めた好素材だ。

 今春のセンバツでチームは優勝したものの、太田は19打数6安打1打点、打率.316。本来の能力からすれば物足りない数字に終わり、3失策の遊撃守備の粗さばかりが目立った。そして夏の奈良大会では19打数4安打1打点、打率.211と沈んだまま、甲子園を迎えていた。それでも、太田に悲壮感はまるでなかった。

「思い切ってやりたいですね。センバツはそれができなくて、県(奈良大会)もプレッシャーに負けていたので。自分たちは挑戦者のつもりでいても、周りからは『甲子園に出て当たり前』と言われて、メッチャ重かったです(笑)。でも、甲子園に来られたので、もうここからは楽しんでやりたいです」

 そんな言葉を残した数十分後、太田は夏の甲子園第1打席でバックスクリーン左に先制のツーランホームランを放ってみせた。

 やっぱり、この選手は違う----。そう思わずにはいられなかった。

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