長島三奈の熱闘甲子園、「松坂世代」の衝撃! (2ページ目)

  • スポルティーバ編集部●取材・文 text by Sportiva
  • 北川鉄雄●撮影 photo by Tetsuo Kitagawa

 1998年、第80回大会といえば、そう、"松坂世代"。今も語り継がれる好試合が連日、続いた。

「今、振り返ってみてもすごい夏でしたね。マツ(松坂大輔・横浜、現メッツ)がいて、クボちん(久保康友・関大一、現DeNA)がいて、スギー(杉内俊哉・鹿児島実、現巨人)、に、ムラッチョ(村田修一・東福岡、現巨人)もいた。ディレクターに甲子園って、毎年こんなにすごいんですか? と聞いたら『いや、さすがに今年は例外だね』と言われました(笑)」

 メジャー、プロ野球でエースや4番の看板を背負う面々。あれから16年の時を経ても、彼女の前では高校球児。今も親しみを込めて、当時の愛称で呼んでいる。

「開幕戦から延長戦で、明徳義塾が勝ち、スギーのノーヒットノーランがあり、(豊田大谷対宇部商戦では)延長15回、サヨナラボークでの決着もありました。最後、決勝戦ではマツのノーヒットノーランでしょう。ふつうなら、これは大ニュースですよ。でも、それが霞んでしまうくらいの名勝負続き。脚本家もこんなドラマ書けない、ウソつけっていうくらい」

 準々決勝の横浜対PL学園の延長17回の激闘は、高校野球ベストゲームのひとつとして記憶される。もちろん、三奈さんにとっても、深く印象に残っている試合だ。

「マツが17回250球を投げ抜いた試合。これがきっかけとなって、延長は15回制になりましたから。印象に残っているのは、試合終了後の両軍の表情なんです。勝った横浜高校の面々が大泣きしているんです。キャプテンの小山くん(小山良男)なんて、もう過呼吸になるくらいで。逆に負けたPL学園の選手は笑顔! 『もう、こんなすごい試合ができて、感謝してます』と。ゲームセットで整列した時も、横浜の選手に『ありがとう、優勝しろよ』とエールを送ったそうです。そして、これは後から聞いた話ですが、PLでサードを守っていたフルハチ(古畑和彦)は延長戦に入ったとき、三塁塁審に話しかけられて『古畑くん、こんないい試合見せてくれてありがとね』って。まだ、試合中ですよ(笑)。あなたたち、どんだけ人を感動させてんのって!」

 

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る