2014.08.09

新ヒーロー誕生の予感。甲子園で注目の隠れた逸材たち

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 2014年の夏の甲子園は、前橋育英の高橋光成(たかはし・こうな)、済美の安樂智大(あんらく・ともひろ)、浦和学院の小島和哉(おじま・かずや)の、いわゆる”ビッグ3”が地方大会で敗れてしまい、つまらなくなるのでは……と考えている方がおられるとしたら、それはちょっと違うようだ。”ビッグ3”のさらなる成長を期待していたファンにとっては残念だが、彼らに代わってこの夏の甲子園を沸かせてくれそうな球児たちが何人も出場している。

神奈川大会で3本の本塁打を放った東海大相模の豊田寛

 盛岡大付(岩手)のエース・松本裕樹(3年/右投右打)は、150キロのストレートに高校通算54本塁打と、大谷翔平(日本ハム)を彷彿させる”二刀流”で注目を集めている。だが、彼の真骨頂は力で圧倒する投球もできれば、変化球をうまく使い緩急で打ち取ることもできる”投の二刀流”にある。初戦で対戦する優勝候補の東海大相模(神奈川)相手にどんなピッチングをするのか見ものだ。

 打者では、春のセンバツで高校生離れした長打力を見せつけた通算73本塁打の智弁学園・岡本和真(3年/内野手/右投右打)。パワーもさることながら、バッティングに対する心がけが素晴らしい。試合前、スイングを繰り返すナインの横で左肩を開かずにステップする岡本の姿があった。相手投手が外しか投げてこないのを見越して、センターから右へ打球を運ぼうとする意識がはっきりと表れていた。初戦で明徳義塾とぶつかるが、好投手・岸潤一郎(3年/右投右打)を打ち崩せるのか楽しみだ。

“城島健司2世”という表現がピッタリなのが、九州国際大付の捕手・清水優心(しみず・ゆうし/3年/右投右打)。選手への評価が厳しい若生正広監督に、1年春からずっと4番を任されてきたのがこの清水。右方向に大きな放物線を描いたと思えば、左方向には猛烈なラインドライブ。こうした打球が打てるということは、インサイドアウトのスイング軌道と抜群のスイングスピードを持っていることを表している。