桐光学園・松井裕樹は最激戦区・神奈川を勝ち抜けるか? (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 また、順当に勝ち上がれば準決勝で対戦する可能性がある東海大相模の門馬敬治監督は、神奈川を勝ち抜く上で大事なこととして「エースの登板イニング数」を挙げた。

「激戦の神奈川を戦う上で考慮しなければいけないのが、ピッチャーの消耗度です。2回戦から出場する場合、決勝まで7試合を戦うことになる。この63イニングをいかに少なく戦っていくかが大事です。シード校同士の対決は5回戦からですから、2~4回戦はできるだけコールドで勝ちたい。うまくいけば、最大で12イニング減らすことができる。大体、50イニングぐらいの勝負にして、30~35イニングをエースに託す。これは私の理想論ですが、過去に苦い思い出があって、菅野智之(現・巨人)がエースだった2007年、あと1点が取れなくてコールドにできず、予定外の球数を投げさせてしまった。菅野には申し訳ないことをしたと思っています。夏の予選はとにかく試合を早く終わらせたい」

 ちなみに、今や巨人の右のエースとなった菅野が神奈川大会決勝で敗れた相手が桐光学園だった。

 直近の練習試合を見た限り、松井に死角は見当たらない。懸念材料があるとすれば、二番手以降の投手陣が失点を重ねていることだろう。彼らが踏ん張ることによって松井の登板機会を減らし、結果、チームをより甲子園に近づけることになる。

 果たして、松井は激戦区を勝ち抜き、甲子園への“帰還”を果たすことができるだろうか。注目の初戦は明日7月14日、相洋高校と保土ヶ谷・神奈川新聞スタジアムで対戦する。松井裕樹の最後の夏がいよいよ始まる。

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