【高校野球】ドラフト候補が目白押し。今年の東北は日本一面白い! (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 青森には昨夏、今春のセンバツと2大会続けて「全国準Ⅴ」の光星学院。「東北の雄」とも称される強豪には、キャッチャーの田村龍弘(3年/173センチ 77キロ/右投右打)とショートの北條史也(3年/177センチ 75キロ/右投右打)のプロ注目のふたりを筆頭に、高い技術と勝負強さを兼ね備えた選手が居並び、全国でもトップクラスの破壊力を持っている。

 青森にはもうひとり、入学直後は光星学院の北条よりも注目を集めていた青森山田のショート・京田陽太(3年/181センチ 75キロ/右投右打)がいる。チーム内に不祥事があって必ずしも野球に集中できる3年間ではなかったかもしれないが、好素材であることに変わりはない。

 守備で魅せるのが、秋田商のショート・柳田一樹(3年/168センチ 68キロ/右投右打)。派手なことはしない代わりに、守備範囲に飛んできた打球をさばく精度は高校生離れしている。無駄な動きが一切ないコンパクトな身のこなしで捕球すると、鋭いスナップスローで一塁に送球される。ぜひとも球場で見てほしい選手だ。

 山形では、酒田南の会田隆一郎(3年/184センチ 86キロ/右投右打)と下妻貴寛(3年/186センチ 85キロ/右投右打)の大型バッテリーが、ここに来て調子を上げてきた。会田はフォームを見失い一時はどん底状態だったが、今春の東北大会で復調の兆しをみせた。頑健な体躯と強肩で早くからプロも注目していた下妻は、一見横着に見えるほど落ち着いた態度がいい。1年の時から注目を集めていたふたりだが、まだ甲子園の経験はなし。最後の夏にどんな結果を見せてくれるのか楽しみだ。

 今やすっかり甲子園の常連校となった福島の聖光学院。1番から長打力のある打者が並ぶ強力打線は健在だが、なかでも2年生スラッガー・園部聡(2年/181センチ 80キロ/右投右打)に注目したい。下半身主導による全身の連動で豪快に振り抜き、ミート力、選球眼とも文句のつけようなし。「一塁手じゃ厳しいかも......」という声もあるが、中村剛也(西武)のように和製大砲としてプロでも大きな仕事ができる選手と見ている。

 近年、聖光学院以外からなかなか逸材が出なかった福島だが、今年は久しぶりに公立の星が現れた。光南のエース・佐藤勇(3年/181センチ 75キロ/左投左打)は、140キロ前半の速球とスライダー、カーブで真っ向勝負する本格派左腕だ。順調に勝ち進んでいけば、準決勝で聖光学院と対戦する。そこで福島ナンバーワン投手の呼び声が高い聖光学院・岡野祐一郎(3年/178センチ 73キロ/右投右打)との投げ合いは見ものだ。

 光星学院が2大会続けて準優勝に輝くなど、東北勢悲願の大旗まであと一歩に迫ってきている。さらに今年は、プロ注目の逸材が目白押し。それだけに「今年こそ」の願いは、いよいよ現実味を帯びている。

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