「マシになりました」と笑顔。楽天・安樂智大の剛腕復活が近い!

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

「今年の安樂の調子ですか?」

 楽天の塚田秀典ブルペン捕手が問いかけに答えようとした、ちょうどそのとき。練習を終えたばかりの安樂智大が室内練習場から出てきた。

 塚田ブルペン捕手は茶目っ気たっぷりに「今年の安樂、まだまだ物足りないよな?」と本人に水を向けた。安樂は苦笑を浮かべながら「全然、まだまだです」と答えた。

順調に2年目のキャンプを過ごしている楽天・安樂智大順調に2年目のキャンプを過ごしている楽天・安樂智大

 そこで「プロ1年目と比べたらどうでしょう?」と再び聞いてみた。塚田ブルペン捕手は「1年目と比べれば、すごく良くなっていますよ」と言い、安樂は「1年目よりはマシになりました」と笑った。

 済美高時代に最速157キロをマークした剛速球は、プロですっかり鳴りを潜めている。高校2年時に右ヒジを痛めたことでバランスを崩し、球速は常時140キロ前後にまで落ちた。プロ1年目は一軍で1勝を挙げたものの、入団時に期待された将来像に近づいているとは言いがたい。しかし、プロ2年目の久米島キャンプで安樂は順調な滑り出しを見せている。

 キャンプ第1クール、ブルペンでの投球練習を見ていると、捕手の足立祐一のミットから「パァ〜ン!」と高い捕球音が響いた。スピードこそ140キロ程度だろうが、ホームベース付近でも球威が落ちない。明らかにプロ1年目よりも球質が向上していることがうかがえた。

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