【高校野球】夏の甲子園で評価を上げた「16人のドラフト候補」

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 最大の目玉と言われていた県岐阜商のエース・高橋純平が地方大会で敗れ、顔を合わせるスカウトたちが「今年はいないねぇ......」と軒並み嘆く中、新たなスターが誕生した。

初戦の聖光学院戦で150キロをマークした東海大相模のエース・小笠原慎之介初戦の聖光学院戦で150キロをマークした東海大相模のエース・小笠原慎之介

 文句なしの大会ナンバーワン注目選手は、東海大相模の左腕エース・小笠原慎之介。初戦の聖光学院戦では打者2人だけの投球だったが、左腕では甲子園史上3人目となる150キロをマーク。さらに、右打者の外角に鋭く沈むチェンジアップも披露してスピードだけではないことを証明してみせた。

「高校野球の歴史を振り返っても、左腕で150キロを出したのは東北高の高井雄平(宮城大会で記録/ヤクルト)、大阪桐蔭の辻内崇伸(元巨人)、花巻東の菊池雄星(西武)だけ。小笠原は雄星のような柔らかさがある。それに制球は雄星よりいいし、右打者のインコースに決まるクロスファイアは素晴らしい角度で決まる。もちろん、先発で使いたいけど、ショートイニングならすぐ一軍でできるレベルにある」(パ・リーグ球団スカウト)

「150キロを投げる投手は、大体フィニッシュがぶれてしまうのだけど、小笠原はそれがない。ぶれないところがいい」(セ・リーグ球団スカウト)

 これに加え、何よりも評価を上げたのは春からの成長度だ。

「見違えるようによくなったね。春までは制球がアバウトな感じだったけど、左右のコーナーに投げられるようになった。球速も140キロ前後だったのに、7~8キロは上がっている。真っすぐ以外はよくなかったけど、チェンジアップも使えるようになった」(パ・リーグ球団スカウト)

 貴重な本格派左腕であることに加え、「社会人を含めてもあのスケールはなかなかいない」という声もあり、ドラフト1位で消えるのは間違いなさそうだ。

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