【自転車】国内の強豪となったTeamUKYOが次に見据えるもの

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  高木秀彰●写真 photo by Takagi Hideaki

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第88回】

 3月下旬に開幕した国内シリーズ戦「Jプロツアー」は、4月末で全22レースのうち第6戦までを終えた。TeamUKYOは個人・チームともに連覇を成し遂げるべく、順調にポイントを積み重ねている。目標である「ツール・ド・フランス参戦」に向けて、その次のステップとして見据えるものとは――。

(前回コラムはこちら)

Jプロツアー第5戦・第6戦はTeamUKYOのジョン・アベラストゥリ(左)が連勝Jプロツアー第5戦・第6戦はTeamUKYOのジョン・アベラストゥリ(左)が連勝 片山右京が自転車ロードレースチームを結成し、日本国内の年間シリーズ選手権「Jプロツアー」への参戦を開始したのは2012年――。初年度は望ましい結果を残すことができなかったが、2013年から2015年までの3シーズン続けて個人タイトルを連覇。チーム総合優勝は、2014年に年間ランキング2位に甘んじたものの、2013年と2015年はタイトルを獲得した。

 この結果を見るかぎり、TeamUKYOは結成直後から猛烈なスピードで強豪チームへ成長した感がある。片山自身は、趣味が高じてレース参戦を重ねてきた経験があるとはいえ、チーム自体はゼロからのスタートで、いわば自転車界にとってはまったくの外様(とざま)として出発したことを考えれば、この成果は大きなステップといっていいだろう。

 しかし、TeamUKYOが大きな注目を集めてきたのは、日本国内の強豪チームとして君臨したからではない。結成直後から、片山が「ツール・ド・フランスに参戦する」と豪語し、しかもその実現までに、『5年計画』という具体的な刻限を設定して動き始めたからだ。

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プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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