【新車のツボ159】スズキ・スイフトスポーツ。お手軽スポーティカーで孤高の存在 (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真
  • text & photo by Sano Hiromune

 もちろん、この種のクルマはあくまで趣味の対象なので、最後は各自の肌に合うか......の主観が決め手である。さらに何度もいうが、これらはすべて当連載で取り上げたクルマであり、それぞれすこぶる魅力的である。だから、本来は科目別合計点や消去法で選ぶべきではないのだが、逆に、そういう客観的事実であえて選ぶと、スイフトスポーツがダントツになってしまうのも事実なのだ。

 現行スイフトスポーツ最大のツボは、単純明快に「ボディが軽くて、エンジンが力強い」ということである。その970kg(MT車の場合)という車重は軽自動車に毛が生えた程度で、世界のコンパクトカーでも最軽量クラス。いっぽうの1.4リッターターボエンジンは、140馬力という最高出力こそ飛びぬけたものではないが、230Nmという最大トルクはひと昔前でいうと2.5リッター級の怪力である。

 エンジン性能表示に使われる数字には、大きく最高出力(=パワー)と最大トルクの2つがあり、エンジンの格付けには最高出力が使われることが伝統的に多かったが、アクセルを踏み込んだときの「力強いなあ」とか「パンチがあるなあ」という感覚に直結するのは、じつはトルクのほうである。出力はトルクに時間の概念をかけたもので、クルマの性能で大ざっばにいうと、出力は「スピードを出す力」、トルクは「坂を登ったり、加速させる力」とイメージするとわかりやすいかもしれない。

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