【新車のツボ117】ミニ・クラブマン試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 でも、オシャレにこだわりすぎると、せっかくミニを買ったユーザーが、たとえば結婚や出産を機に、あるいはキャンプ趣味に目覚めた瞬間に、ミニに乗らなくなってしまう。......と、ミニはそういうジレンマを抱えてもいた。

  

 クラブマンを名乗るBMWミニは今回で2世代目になるが、従来の"ちょっとだけ長いミニ"から一転して、この最新クラブマンは素のミニよりボディサイズが完全にひとまわり大きい。他社の例でいうと、VWゴルフ(第64回参照)やフォード・フォーカス(第112回参照)とガチンコサイズで、素のミニより、価格もサイズも1クラス上の存在となる。

 車格やクラスをボディ全長で定義する欧米のクルマは、総じて幅方向には寛容だ。よって、このクラブマンも全幅はなんと1.8m! 国産車でいうと、あのトヨタ・クラウンと同サイズ!! というわけで、新しいクラブマンは発売直後から、案の定、敬虔なミニファンの間で「ミニは堕落した」だの「クラウンと同じ幅でミニはないだろ!」という批判が巻き起こった。

 その気持ちはよくわかる。ミニはそういうクルマをペットのように愛でる濃ゆいファンに支えられてきたから、BMWもこれまでミニのサイズアップには慎重だった。だが、前記のジレンマに別れを告げて、ミニをさらに売りまくるには、これしかなかった......というBMWの都合も、同じようによくわかる。

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