【新車のツボ64】
VWゴルフ 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 今年のはじめに、このコーナーでモデルチェンジ直前の6代目ゴルフ(ゴルフ6)を「超熟の味」として紹介した(第47回参照)。あの時点で欧州では新しい7代目ゴルフ(ゴルフ7)がすでに発売されていたんだが、ゴルフ6は清涼感あふれる上級実用車として見事に完成された歴史的なゴルフであり、あえてモデル最末期でも買う価値アリ......の逸品だったからだ。

 そして、新型ゴルフ7は今年5月に日本発表となった。ワタシも最近やっとゴルフ7に乗った。で、驚いた。

 ゴルフ7については、海外で先行試乗した人も日本国内でいち早く乗った人も、ワタシの同業者ほぼ例外なくベタボメ。へそ曲がりのワタシはこれまで「ホントかよ!?」とあえて避けていた。しかし、実物のゴルフ7はなるほど、ちょっとスゴイ。いや、かなりスゴイ。

 特徴的な斜め後ろから見たスタイリングが意図的にキープイメージで造形してあるために、ゴルフ7はだれがどう見てもゴルフにしか見えず、興味がない人だと6と7の区別がつきにくいかもしれない。

 しかし、実際にはフロントウインドウが先代のゴルフ6よりかなりグイッと寝ており、ボディサイズそのものも長く、そして低い。早い話がベタッと低く構えたプロポーションで、そのたたずまいはスポーツカー的......あるいは大型高級車的なオーラが少し出ている。

 室内もそうだ。6のシートは高めの位置に見晴らしよく折り目正しい姿勢で座るタイプだったが、7の運転姿勢はちょっとスポーティに低い。ダッシュボードまわりの調度品もひとつひとつが今まで以上に精緻で、しかも運転手を向いて取り囲むように配置されている。これも高級なドライバーズカーのインテリアデザインによくあるツボだ。

 ......といった空間をゆったり贅沢に使った室内設計のおかげで、ゴルフ7は6よりボディが大きくなったが、室内の居住空間そのものは6とさほど変わらない。この辺は実用車というより高級車チックといえる。

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