息子を訪ねて1300キロ。坂本勇人2世、武岡龍世を支える家族の献身
■TBSの上村彩子(かみむら・さえこ)アナウンサーが現場で取材した大会でのエピソードや舞台裏、インタビューしたアスリートの魅力や意外な一面などを伝えるこの連載。今回のテーマは、先日のドラフトでヤクルト6位指名を受けた武岡龍世選手。ドラフト会議当日、指名される瞬間の選手の表情や、現場で取材した家族とのエピソードをレポート。
ドラフト指名を待つ選手の現場を取材した上村彩子アナphoto by Yamamoto Raita 少し時間が経ってしまいましたが、ヤクルト6巡目で指名された武岡龍世選手のドラフト取材で八戸学院光星高校(青森)に行ってきました。私にとって、ドラフト会議当日に指名を待つ選手の様子をご家族と一緒に見守ることは、初めての経験でした。
ドラフト会議があったその週の土日は、ちょうど文化祭の開催日ということもあり、準備に追われる校内は、なんだか全体的にそわそわした雰囲気。ドラフト会議の時間が近づいてくると、すれ違った女子生徒の皆さんも「今日ドラフトだよね」「何番目で指名されるかな」と楽しみにしているようでした。
午後4時50分からドラフト会議の中継が開始。武岡選手は中位指名も予想されていたので、ドキドキしながら名前が呼ばれるのを待っていたのですが、1時間経ってもなかなか呼ばれません。選手にとっては、この先の人生が決まる瞬間。集まった多くのメディアのテレビカメラ、スチールカメラがその表情を撮影しようと狙っています。その分、武岡選手が感じるプレッシャーも大きかったのではないかと思います。
そんな中、なかなか名前が呼ばれないと、その場の空気は少しずつ重い雰囲気に...。この日は野球部員全員が残って、指名された時にお祝いをするために待機していました。次は来るんじゃないか、次は来るんじゃないか。まだ呼ばれない。うなだれる部員の皆さん――。
武岡選手は、大学に進んでからプロを目指すという選択肢もあったため、なかなか名前が呼ばれないと、武岡選手の父・克明さんと母・みどりさんが、「もしダメだったら、大学に行って、また頑張りますと言いなさいね」と、明るい表情で話しかけている姿が印象的でした。指名が進んでいき、武岡選手と同じポジションの選手の名前が呼ばれて、枠が決まってくると、会場全体はだんだん言葉少なに......。膝を叩いて待つ父・克明さんの姿もありました。
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