【GⅠ競輪祭女子王座戦】佐藤水菜が波乱のレースを制し年間グランドスラム達成 落車した仲間を思い「めちゃ悔しい」と涙ぐむ
年間グランドスラムを達成した佐藤水菜 優勝インタビューでは涙もphoto by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
【涙の理由】
「めちゃ悔しいです」
優勝インタビューでそう口にして目に涙を浮かべた佐藤水菜(神奈川・114期)。11月19日から3日間にわたって行なわれた「第3回競輪祭女子王座戦」での優勝で、彼女は今年1年間に開催された4つのGⅠすべてを制す前人未到の偉業を達成した。
しかし表彰台でのインタビューで、彼女は笑顔をほとんど見せなかった。その理由は勝敗以前に、「みんなが無事に完走をするような戦いをしたかった」からだった。
この競輪祭女子王座戦には、「ガールズグランプリ2024」の1~3着の選手や、単発競走を除いた決勝1~3着の回数上位者など計28人が出場しており、この開催での勝者が年末に行なわれる最高峰のレース「ガールズグランプリ2025」への出場権を得られるとあって、緊張感の漂う最終決戦となっていた。
舞台となった小倉競輪場(北九州メディアドーム)は、走りやすさをテーマに設計された世界最大規模の屋内バンク。風の影響を受けないためスピード感のあるレースが繰り広げられるとともに、音が逃げず反響する特性もあって、車体の音や声援がクリアに聞こえる迫力も備えていた。
【絶対女王が抱えていた不安】
決勝戦に進んだメンバー7人のうち、優勝候補筆頭に挙げられていたのが、10月の世界選手権のケイリンで二連覇を達成した世界女王の佐藤水菜。
今年行なわれた3回のGⅠ、オールガールズクラシック、パールカップ、女子オールスター競輪でも他を寄せつけない圧勝劇を見せていた彼女の走りはこの開催でも健在で、初日、2日目とも1着で決勝に進出。その爆速ぶりに、決勝で7番車に入った尾崎睦(神奈川・108期)が、佐藤の準決勝を見て「さすがだと思った」と感嘆の声をあげれば、準決勝で佐藤に次ぐ2着となった大浦彩瑛(神奈川・126期)も「やはり力の差は感じた」と感服のコメント。ナショナルチームの後輩・仲澤春香(福井・126期)も「佐藤選手のレースを見てすごく参考になる部分が多く、自分もそういうレースができたらいい」と羨望に近い感覚を抱いていた。
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