GⅠを9度制した父を持つ山崎歩夢がルーキーシリーズプラス優勝 4カ月ぶりのレースも周りは「強すぎ」と白旗 (2ページ目)
順調なステップアップを経て、7月には満を持して先輩選手との初レース、いわゆる本デビューに臨んだが、そのレースで先頭誘導選手の早期追い抜きによりまさかの失格処分に。ペナルティとして4カ月間、実戦から遠ざかることとなってしまった。
欠場期間も父との練習に打ち込んできたとはいえ、久々の実戦が一発勝負の企画レース。しかもGⅢ開催「泗水(しすい)杯争奪戦」の開催日とあって多くのギャラリーが会場に詰めかけた。そんななかでの走りとなれば緊張は想像に難くないが、外枠の6番車でスタートした山崎は「誰も出ないなら(先頭を)取っちゃおう」と臆することなく先頭に収まり、レースを引っ張った。
6番車・緑が山崎。積極的なレースで観衆を沸かせた photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る 隊列が形成されてからは様子見の状態が続いたが、残り2周を前に谷内健太(京都・125期)と久田朔(大阪・125期)が先頭へと仕掛けていく。しかし山崎は動じることなく自分のペースでプランを組み立てると、流れに乗って一気にまくりで先頭へ。そのままの勢いでゴール線を駆け抜けた。
レース後の会見では「楽しみよりも不安が大きい状態だった」とスタート前の心境を語ったものの、最後には「久しぶりのレースを楽しめた」と笑顔も見せた。何より「単騎戦(※)だったので全開で踏んでいったら(後ろに)まくられると思って途中で緩めながら(スパート)できた」と、計算どおりの展開に持ち込んだクレバーさが光った。初めての欠場期間だったが、その間の猛練習が自らの成長につながったことを結果で示してみせた。
※選手同士が連携しながらレースを展開する「ライン」に対し、誰とも連携せず、ひとりで組み立てたり、単独で走行したりすること
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