観戦ツアー以外にJTBがスポーツを支える知られざる業務とは。今後は「スポーツを通じた社会課題の解決」を目指す (3ページ目)
ラグビーW杯。そして共創へ
そして、JTBがこれから力を入れているメガスポーツイベントが、フランスで開催されるラグビーW杯と2024年開催のパリオリンピックだ。とくにラグビーW杯では、日本ではまだ馴染みの薄いプランを用意している。それが「ホスピタリティプログラム」だ。
「これは一歩進んだラグジュアリーな観戦体験ができるプログラムで、一般観戦チケットでは販売されていない最上位ゴールドカテゴリーの座席で試合を観戦できたり、試合前後に専用ラウンジでくつろげたり、ビュッフェ形式の飲食を楽しめたりする、欧米で主流の観戦スタイルです」
欧米ではスタジアムがビジネスの場、社交の場となっているのはよく知られているが、日本ではまだ広く活用されているわけではない。開催国フランスは、ラグビー強豪国で、かつスタジアム設備も充実した国であるため、このホスピタリティプログラムを使って、多くの国からビジネス、社交の目的でVIPたちがやってくるだろう。「日本の方々に世界標準のスポーツ観戦や国際交流を体験してほしい」と久家氏は言う。
「ホスピタリティプログラム」のイメージ。2019年の日本大会でも活用され好評だったという photo by「JTBスポーツ」公式サイト
そして2024年には同じくフランスでパリオリンピックが開催される。セーヌ川を使ってオープニングセレモニー(開会式)を実施したり、コンコルド広場でスケートボードやブレイクダンス、エッフェル塔付近でビーチバレーを行なうことが予定されているなど、歴史と文化の街パリを最大限活かしたファン垂涎の大会になる予定だ。
現在JTBはこのパリ大会でチケット付きツアーなどを扱えるよう、大会側と交渉中。久家氏は「ホスピタリティプログラムは、パリオリンピックだけではなく、その先もずっとやる意思はある」と今後への意欲も見せる。さらにJTBではスポーツを媒介とした新たな領域にもチャレンジしようとしている。
「今私は、『スポーツビジネス共創部』という部署にいますが、ここはスポーツを通じて、社会課題を解決していくことにチャレンジする部署でもあるのです。たとえば、現在は少子化でひとつの学校で、野球やサッカー、ラグビーなどのチームを結成できないという課題が出てきています。我々は47都道府県に支店があり、行政とのつながりもありますので、スポーツの現場で起きているそのような課題をどう解決していけるのか、さらには社会の課題をスポーツで解決することができるのか、これから考えていきたいと思います」
チケット付きのツアーから、スポーツ団体や大会の運営・サポート、そしてスポーツを通じた社会課題の解決まで。これからもJTBはスポーツが持つ力を信じ、そしてスポーツを活用して、人と人の交流を創造していく。
株式会社JTB
スポーツビジネス共創部
久家実 部長
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