東京五輪ではテレビ画面に速度も表示。オメガの計時技術がさらに進化 (2ページ目)
競技の魅力を引き出し、人々を興奮させる計時の技術は、この東京大会でさらに進化している。
「今回でいうと、モーションセンサーとポジショニングシステムが導入されています。これは、アスリートに小さなタグをつけることにより、今どのポジションにいるのか、加速や減速などのスピードはどのくらいか、それらをリアルタイムで収集し表示することを可能にした技術です。またタグではなく画像追跡カメラが選手の動きを追い、同様のデータを収集する競技もあります。これらは特に誰からもリクエストされていない技術なのですが、アスリート、コーチ、ファンにとって魅力的かつ感情が揺さぶられる技術だと思い開発しました」
オリンピック期間中にテレビ画面を注視していればわかるはずだが、例えば競泳なら、これまであったラップタイム以外に、各選手のスピードが秒速で表示されるようになったり、ストロークの数を数値として出したりしている。陸上競技では、例えば100m走なら走者が最高速度に達したのはいつか、400m走ならコーナーでの全走者の正確な位置・順位を表示することができるようになっている。
ゴールにある「フォトセル」。ゴールラインに光線を横切らせ、選手がこのラインを超えると計時をストップさせる オメガはこれらの技術を駆使し、完璧な精度で計時をするために、530人のタイムキーパーと専門家、トレーニングを受けた900人のボランティアスタッフを派遣し、350台の競技専用スコアボードや200kmにおよぶケーブルと光ファイバーなどを合わせ、計400トンの装置を運び込んだ。オメガはオリンピックでタイムキーパーの役割を担うとともに、競技を感動的に演出する必要不可欠のパートナーだと言える。
オメガはなぜここまでオリンピックに注力しているのだろうか。そこにはマーケティング的な戦略の意味合いも存在する。
2 / 3