東京五輪ではテレビ画面に速度も表示。オメガの計時技術がさらに進化
「スターティングピストル」。引き金を引くと計時機器を作動させる 東京オリンピックがほぼ無観客で開催されることになったため、多くの人がテレビ観戦することになった。競技場、スタジアムで観戦できないのは残念だが、テレビ観戦が面白くないということはないはずだ。なぜならスタンドからでは見られない選手の細かい表情はもちろん、現場では得られないさまざまな情報が画面上に表示されるからだ。
その代表的な例が、陸上競技100m走で見られる、ゴールの瞬間を捉えたコンマ何秒かを切り取った写真判定の映像や、競泳で見られる各レーンに描かれた名前や国旗、世界記録ラインを水面に表示させるCGなどだ。それにより、現場以上に興奮を感じると思っている人も多いかもしれない。
これらの技術を実現させたのが、スイスの高級時計ブランドの「オメガ」だ。東京オリンピックでは、オフィシャルタイムキーパーとして全33競技・339種目の計時を担っている。
1932年のロサンゼルスオリンピックから、今回で29回目の計時を務めるオメガ。社長兼CEOのレイナルド・アッシェリマン氏はこの意義についてこう語る。
「オメガはパイオニア精神を大切にしているブランドです。オリンピックには1932年からこれまで約90年間サポートしてきましたが、常にパイオニア精神を持って携わってきました。またスポーツは感情を揺さぶるものです。オメガはオリンピックを通して、人々の感情を揺さぶり人々の行動や考え方をより良き方向へ変化させたいという思いもあります」
オメガが持ち続けるパイオニア精神によって、オリンピックにおける計時の技術は飛躍的に向上してきた。その歴史の中で最も革新的なものは、1948年のロンドン大会から導入されたフォトフィニュッシュカメラだ。
「オメガにとってもファンのみなさんにとってもフォトフィニッシュは、歴史上、非常に印象的な技術で、誰でも見てすぐに理解できる革新的な技術だと思っています。特に僅差のレースになる陸上100m走では、これがあることで、人々の心を揺さぶり、記憶に残りやすくなります。現在では1秒間に1万枚の写真が撮れるようになっています」
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