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フィーゴを苦悶させた残酷なクラシコ。
バルササポの慈悲なき仕打ち

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 スペインのみならず、全世界がその一戦に注目するクラシコ。バルセロナとレアル・マドリードの長きにわたる戦いは、数々の伝説を生み出してきた。ここではこれまでのクラシコの中から、記憶に残る激闘・感動の一戦を、スペインで豊富な取材経験を持つスポーツライターに厳選してもらった。

禁断の移籍後、初めてカンプノウに立ったフィーゴ。激しいブーイングを浴びた禁断の移籍後、初めてカンプノウに立ったフィーゴ。激しいブーイングを浴びた
2000-01年シーズン第6節 
バルセロナvsレアル・マドリード
@カンプノウ

 すでにリーグ戦だけでも180試合を数える伝統のクラシコには、数え切れないほどの名勝負が存在する。

 その時の成績に関係なく、いつの試合も両チームが本気モードで雌雄を決するクラシコは、だから勝利と敗北のコントラストが絶妙な物語を紡いでくれる。
 
 当然、メディアやサポーターにとって最も気になるのは勝敗の行方だ。永遠のライバルとの大一番に勝利するためのスタメン、戦術、監督采配など、あらゆる角度から決戦を予想し、さまざまな切り口から騒ぎ立てる。それが、クラシコの風物詩でもある。

 ところが、2000年10月21日にカンプノウで行なわれたクラシコは、明らかにいつもと様子が違っていた。

 メディア、サポーター、そして世界中のサッカーファンが注目したのは、試合内容や結果にあらず。熱い視線は、そのシーズンにバルセロナからレアル・マドリードに「禁断の移籍」を果たしたひとりの男、フィーゴだけに向けられていた――。
 
 そもそも、そのクラシコがシーズンの大きなトピックとして注目されるようになったのは、決戦の数週間前というレベルの話ではなかった。正確には2000年7月24日。かねてから噂されていたフィーゴのレアル・マドリード移籍が正式発表されてからだ。

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