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セリエA移籍、東日本大震災を経て......
37歳、小笠原満男が語る矜持 (5ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro  五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro


 サッカーはボール1個あればできると言うけれど、東日本大震災の被災地にはボール1個どころか、サッカーができるような場所さえもなかった。震災直後の日々は、世界中を見渡してもあそこだけはサッカーという状況ではなかった。

 ボールもない。スパイクもない。そんな状況にサッカーをやめてしまう子どもたちがいっぱいいて......。なんとかしたくて東北出身のサッカー選手たちを中心に、『東北人魂を持つJ選手の会』を発足し、現在も被災地の救援・慰問活動は続けています。スパイク契約しているニューバランス社からも物資面で大きなサポートをしてもらっていますけど、物を大事にする心とか、スパイクを履いてボールを蹴れる日常があることは、これからも大事にしていきたいと思っています。

 1年後、3年後、10年後の自分はどうなっているのかなんて想像できないし、考えていませんね。何歳まで現役生活を送りたいと目標を立てたとしても、アントラーズから明日「要らない」と言われたら現役生活は終わりだと思っているし、それがプロの厳しさですからね。

 ただ、カズさん(三浦知良)は、50歳で現役を続けてゴールも決めているし、ジーコは40歳で迎えたJリーグ初年度の開幕戦でハットトリックを記録している。上には上がいるので、37歳はまだまだ。

 それにサッカーは若くて、走り回れればいいというほど単純じゃないんで。経験を積んだ分だけ賢く走り、効率的にサッカーができるし、裸足の感覚に近くてストレスなくプレーを支えてくれるニューバランスのスパイクもある。自分で限界のラインを引かず、試合がある限りいつまでもプレーしたい。そのために1日、1日を大切にしながら、勝負していくだけです。

A LETTER TO MY FUTURE SELF
未来のワタシ(ボク)へ
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