『仮面ライダーガッチャード』クロトー役・宮原華音が語る空手少女時代「男の子に勝てることが自信になった」

  • キンマサタカ●取材・文 text by Kin Masataka

女優・ラウンドガール・格闘家の"三刀流"

宮原華音インタビュー 前編

【長い手足で躍動する美女の正体】

 毎週日曜の朝9時に放送されている『仮面ライダーガッチャード』(テレビ朝日系列)。宮原華音が演じる「冥黒の三姉妹」の次女・クロトーは、悪役の中でも格闘能力に優れるキャラクターという役どころだ。アクションシーンでは彼女の長い手足と軽やかな身のこなしで、画面の中でひと際目を引く。

「仮面ライダーに出ると、子供から声をかけられることが増えます。お母さんや、お父さんからもSNSにコメントをいただいたりすると嬉しいですね」

『仮面ライダーガッチャード』クロトー役でも話題の宮原華音 撮影/栗山秀作 ヘア&メイク/高部友見『仮面ライダーガッチャード』クロトー役でも話題の宮原華音 撮影/栗山秀作 ヘア&メイク/高部友見この記事に関連する写真を見る

 アクション女優として注目を集めていた彼女が、昨年4月に格闘技大会「RISE」にプロの選手として出場することになり、ファンは驚いた。試合結果を知って、もっと驚いた。「どうせ冷やかしだろう」という周囲の期待をいい意味で裏切り、スラリとした手足から強烈なパンチとキックを繰り出し、あっという間にKO勝利を収めたからだ。

「対戦前に相手のことを調べたんですが、そのために見たのがKO勝ちした試合だったので......『パンチが強いな』と思ってました」

 1ラウンド39秒でのKO勝利を収め、応援に駆けつけた友人たちに手を振る宮原。驚くことに、試合のあとはラウンドガールとしてもリングに上がった。試合会場の後楽園ホールのリングは、彼女が普段、ラウンドガールとして立っている場所だ。スタッフのほかに、ラウンドガールの仲間が応援に駆けつけてくれていた。知り合いが喜ぶ姿を見て、「勝ったんだ」という実感が初めて湧いてきた。

「試合は緊張しましたけど、終わった後は知り合いの顔を見つけてほっとしました」

 女優として活躍する彼女は、なぜリングに立ったのか。それを語るには、まず彼女の経歴から話す必要があるだろう。

 時は小学校2年生時までさかのぼる。ひとりっ子の宮原が空手を始めたきっかけは、内向きな性格を変えたかったから。子供同士のささいなやり取りで、何か強い口調で言われると、言い返せず黙り込んでしまっていた。

 その結果、自分の中に嫌なことを溜め込んで我慢するようになってしまう。嫌なことを頼まれても、断るのが面倒だからと全部やってしまうようになった。

「学校に行くのが本当に嫌で、泣いた日もありました」

 宮原の母は、小さなわが子が日々ストレスを溜め込んでいくことに胸を痛めていた。泣いて帰宅する娘を案じた両親は、彼女を空手道場へと通わせた。

「『強くなってほしい』というわけじゃなく、『礼儀や人の痛みをわかってほしい』と思っていたみたいですね。1年くらい続けばいいかなって」

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