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「起業」を官民あげて促すのはなぜか。高校の野球部生徒が社会の流れやその現状を学ぶ (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【大学発ベンチャーにサポート】

奥野「まずは躍起になって起業を促しているような、社会の流れと現状から説明していこうか。たとえば今から2年くらい前のことなんだけど、科学技術振興機構(JST)という国の組織が、その組織内に大学ファンドを立ち上げたんだ。

 このファンドは、5000億円の政府支出と4兆円の財政投融資資金を合わせて、合計4兆5000億円の原資を運用することによって、早期に10兆円規模にまで増やし、その運用益を用いて、慢性的な研究資金不足に悩んでいる大学をサポートすることを目的にしている。

 目標としている運用利回りは年4.38%で、グローバル株式に65%、グローバル債券に35%という資産配分を行なって、今後50年間、運用するらしい。

 では、どうして4兆5000億円もの巨額な大学ファンドをつくったのかというと、学校であるのと同時に研究機関でもある大学での研究を世界レベルに持ち上げることによって、技術大国・日本を復活させようという狙いがあるんだろうね。

 もっとも、JSTの大学ファンドが立ち上がる前から、各大学では『大学発ベンチャー』を立ち上げる動きが増えているんだ。

 たとえば複数の大学が協力して研究を進めながら、ビジネスプランを考え、その研究が成功したらベンチャー企業を立ち上げて、社会に付加価値を提供していく。大学発ベンチャーの数は、1990年度は55件しかなかったんだけど、2021年度には3306件になっている。

 そして、こうした大学発ベンチャーに対して、国が補助金を出していたりもするんだ。実際、この30年間で大学発ベンチャーの数が60倍になったことからもわかると思うんだけど、とにかくベンチャーを立ち上げていこうという勢いのようなものが、広まりつつある印象は受けるよね」

鈴木「もし大学ファンドがしっかり運用益を出すことができたら、大学での研究もどんどん盛んになる可能性があるってことかな?」
由紀「日本の大学で行なわれている研究って、海外の大学と比べると、どんな位置づけになっているのかな」

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