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普通の女子高生がバブリーダンスを機に芸能界へ。伊原六花が語る学生時代と女優の今 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 佐野隆●撮影 photo by Sano Takashi

この記事に関連する写真を見る「はじめは、それこそびっくり」だった。何しろ、普通の高校生だ。テレビに映るとなれば、当然、テンションも上がる。

「だから最初は、テレビの取材が来るときは、みんな普段はしてないお化粧をして。『決まってる? イケてる、前髪?』とかおめかしして、舞い上がっていたところもあったんです。

 でも、実際に取材していただくのはダンスを踊っているところなので、ぜんぜん関係なかった。メイクも落ち、髪の毛もボサボサ!」

 のちにテレビ画面に映る自分たちを見て、「もうちょっとメイクしておけばよかった」と友人たちと笑いあったが、それも初期のころの話。ひとつのテレビ出演が火つけとなり、次々にブームの炎は広がっていく。ほどなくしてその勢いは、当事者たちですら把握不能なまでになっていた。

 ある意味で麻痺した感覚は、郷ひろみとのコラボで紅白歌合戦の出演が決まったときですら、リアリティを感じぬほどだったという。

「めちゃめちゃ失礼ですけれど、正直に言うと、あ、次は紅白か、という感じだったんです。めちゃめちゃ失礼ですが、地方のイベントも、紅白もレコード大賞も、わたしにとってはすごいという意味では全部すごいことでしたから。

 ただ、みんなでバブリーダンスを踊るのは紅白がラストだったので、その区切りとしての感慨はありました。あとは、テレビは待遇がすごいという感動もありましたし。それまでわたしたちは、遠征に行くのも、スタジオなどの場所を借りるのも、全部自分たちで出していたんです。それがテレビに出るとなると、交通費も出るし、お弁当も出る! スタジオに入るときにも、扉を開けてもらったりして。『開けます開けます、自分で!』って感じでした」

 先入観や貴賤の上下なく、どのステージの輝きも同列にとらえていたからこその、平常心。あるいはそれは、キャプテンの立場が生んだ責任感ゆえだったかもしれない。

「それこそ素人がテレビに出させていただいているので、わたしはキャプテンとして、騒いだらダメだと思っていたんです。ファンみたいな感じになると、アーティストの方にも申し訳ないと思っていました。なので、LDHの方たちのファンの子とかも部員にはいたんですが、『マジで、騒がないで。絶対にキャーとか言わんといてな』って言ってました。

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