脱税スキャンダルはメッシの評判を落とすことになるのか
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】リオネル・メッシの時代(前編)
脱税スキャンダルに見舞われたリオネル・メッシ(photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA) リオネル・メッシが13歳のとき、彼の一家はアルゼンチンの田舎町ロサリオを離れ、必死の思いでバルセロナへ飛んだ。少年メッシにとって飛行機に乗るのは初めてだった。
メッシ家がバルセロナに移り住んだのは、リオネルがフットボールの天才だったのに身長が140センチしかなかったためだ。並みの背丈になるにはホルモン治療が必要で、月に900ドル(当時のレートで約10万円)かかる。製鉄所で働く父親に払える額ではなく、アルゼンチンのクラブにもその金を出そうというところはなかった。
そんなとき、スペインのカタルーニャ地方に住む親戚がFCバルセロナに連絡をとった。メッシはバルセロナへ行き、実力を試すための練習試合で5ゴールをあげた。父親はその場でナプキンに書かれた契約書にサインした。
バルサはホルモン治療の費用を払い、メッシは毎晩カタルーニャで足に注射を打った。身長は169センチまで伸びた。今26歳のメッシは地球上で最高の選手であり、もしかすると史上最高の選手かもしれない。
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