【イングランド】カペッロは今夏のユーロでの代表の失態を予期していた

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

イングランド代表監督として最後の試合となった昨年11月のスウェーデン戦では、1-0で勝利を飾っている。左はイブラヒモビッチ イングランド代表監督として最後の試合となった昨年11月のスウェーデン戦では、1-0で勝利を飾っている。左はイブラヒモビッチ 【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】カペッロ辞任の意味(後編)

 ファンはカペッロのことを、彼が代表を率いた唯一の主要大会であるワールドカップ南アフリカ大会でのふがいない戦いとともに記憶している。しかし、それはフェアではない。イングランドはイングランド以外で開かれる夏の大会では、たいていふがいない戦いをする。大きな理由は、世界で最もタフなリーグであるプレミアリーグから選手を集めていることだ。

 6月ともなれば、たいていの選手はシーズンを終えて疲れきっている。イングランドで最も優れた選手であるウェイン・ルーニーは、ワールドカップでは2大会続けて、いいコンディションでプレイできていない。イングランド代表MFのスティーブン・ジェラードがユーロ2004について語った言葉は、最近のたいていの大会に当てはまる。「イングランドはぼろぼろだ。......長くハードなシーズンが大きな犠牲を生んでいる」

 だからカペッロを批判するのは筋違いなのだが、彼は南アフリカでの敗戦の責任を負うスケープゴートにさせられた。カペッロについてはワールドカップのわずか4試合だけでなく、イングランドを指揮した42試合すべてで評価したほうがフェアというものだ。

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