瀬戸大也、萩野公介のライバル物語が再スタート。若手の急追にも注目 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 こう話す瀬戸に対し、萩野は昨年12月の日本選手権の200m個人メドレーで、1分57秒67、400m個人メドレーも4分13秒32と、ともに東京五輪派遣標準記録IIを上回ったものの、まだ迷いもあるようだ。

 最初の400m個人メドレーでは、「左の腹筋にうまく力が入らなくて、腕で調整して泳いでいる感じ」と振り返り、バタフライは瀬戸に1秒91離される3番手。次の背泳ぎで2位に上げて平泳ぎも2位を維持したが、最後の自由形でスピードが上がらず、4分16秒38で6位という結果に終わった。

 それでも200m個人メドレーに向けては、「ウォーミングアップをしっかりして決勝の1本だけを意識して泳ごう」と気持ちを切り替えた。

 こう話す萩野の200メートル個人メドレー決勝は、最初のバタフライを2番手で折り返すと、背泳ぎで抜け出して2番手に0秒46差をつけた。最後はその差をさらに広げ、2位に0秒68差の1分58秒14で優勝した。東京五輪の派遣標準記録Iは突破できなかったものの、手ごたえを感じていた。

「いい泳ぎができている時は、腕に力が入っていなくて、お腹で搔いているような感覚なんです。昨日までは体幹の中に支点がなくて、腕ばかりで掻いているような感じでした。最後のクロールは浮いてしまってスパートできなかったのは反省点ですが、練習の中ではいい泳ぎができているので、『ここをこうすればいい泳ぎができる』というのを感じられたのはよかったです」

 今後の活躍に期待が膨らむ2人だが、関係性としては小学生の頃から刺激しあってきたライバルであり友人だ。

 萩野が高校3年生で2012年ロンドン五輪に出場したころまでは、瀬戸を圧倒していたが、瀬戸も2015年の世界選手権400m個人メドレー連覇をするなど、力をつけてきていた。

 それでも記録は萩野が上位で、2016年リオデジャネイロ五輪の400m個人メドレーで日本記録(4分06秒05)を出して金メダルを獲得している。瀬戸は銅メダルだったものの、萩野と2位のチェイス・カリシュ(アメリカ)には大きく水を開けられる4分09秒71という記録だった。

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