2020.12.08

ネガティブなスイマーが五輪で金メダルを獲るまで。金藤理絵の長い苦闘

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

PLAYBACK! オリンピック名勝負ーー蘇る記憶 第42回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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リオデジャネイロ五輪の競泳女子200m平泳ぎで金メダルを獲得した金藤理絵 
2016年8月、リオデジャネイロ五輪の競泳会場。女子200m平泳ぎの表彰台で笑顔を見せてカメラマンの撮影に応えていた金藤理絵は、ふと視線を観客席に向けると、途端にポロポロと涙を流し始めた。

「チームメイトや日本からの観客だけでなく、国に関係なく祝福の声をかけてくれて。そういった経験がこれまでなかったので、本当にうれしかったです。初めての表彰台で、自分だけの『君が代』を聞くことができたのでちょっとだけ涙が出そうになったけど、その時は泣かずに......。でもその分、最後の最後に、チームの皆が喜んでくれているのを見た時に、全部出てしまいました」

 その約30分前の決勝レース。タッチ板に手をついて電光掲示板を見上げた時、金藤は複雑な気持ちになったという。

「信じられなかった。タイム自体は2分20秒30と平凡で、自分のベストより0秒6も落ちたタイムだったので、こんな記録で優勝していいのかなと思って......。表示された自分のタイムと順位を見て、『本当に一番なの?』と思っていたんです。だからうれしさと悔しさがあって、自分でもよくわからなかった」