競泳のヒロイン大橋悠依が手に入れた強さ。初の世界で大きく成長した (6ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Enrico/AFLO SPORT

 さらに、2019年の日本選手権では200mバタフライに出場。世界選手権派遣標準記録には0秒08届かなかったが、2位に食い込んだ。8月の世界選手権は個人メドレーのみの出場だったが、池江璃花子が抜けた中で女子選手の期待を一身に背負う戦いになった。最初の200mは調子が上がらず、6位となったうえに泳法違反で失格という思わぬ結果になった。

 だが、最終日の400mでは意地を見せた。決勝はホッスーを150mまでリードする積極的な入りを見せて、その後も女王を追いかけた。ラスト50mでロンドン五輪優勝の叶詩文(中国)にかわされたが、シーズンベストの4分32秒33で銅メダルを獲得した。

「今回はプレッシャーがかかるなか、最終日のきつい400m個人メドレーで粘ってメダルを獲れたことは、来年(の東京五輪)へ向けて意味があると思います」

 納得の表情でそう話し、大会を終えた。

 2017年に現れた競泳界のヒロインは、国内で勝てる選手から世界選手権の経験を経て、世界で戦える選手へと成長を遂げた。今もなお東京五輪に向けて、成長曲線は右肩上がりだ。

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