競泳のヒロイン大橋悠依が手に入れた強さ。初の世界で大きく成長した (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Enrico/AFLO SPORT

「あれで『来年こそはやってやる』と思えたんです。あの日本選手権が転機になったと思います」

 そう話す大橋は、大学3年で出場した2016年9月の日本インカレで200mと400mの2冠を獲得し、1週間後の国体の200mで、リオ五輪代表の寺村美穂を破って優勝を遂げた。

 さらに、年が明けた2月のコナミオープンの400mでは、2017年世界選手権派遣標準記録Ⅱを上回る4分35秒35の自己ベストを出した。

「高校時代にあまり練習をしていなかったので、『(大学)3~4年生になって体力がつかなければ、まともな練習はできないよ』と指導していました」と平井コーチは当時を振り返る。

「彼女は気分屋というより、できないと思ったり、気にかかったりすることがあると、まったくダメ、という傾向がありましたが、去年くらいから自分を信じられるようになってきたと思います。コナミオープンで4分35秒を出した時は、『あと2秒いける』と話していたのですが、4月の日本選手権で日本記録を更新する31秒を出して、それを実証できました」(平井コーチ)

 その4月の日本選手権では、200mでも今井月(るな)と寺村を破り、2分09秒96の自己新で優勝を果たしている。

 こうして国内大会で着実に力をつけ、結果を残すことで自信を手に入れた大橋は、200mと400mの個人メドレー2種目で世界選手権出場を決めた。

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