2019.07.27

松田丈志が考察。瀬戸大也と渡辺一平が
狙って勝つためにやるべきこと

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by Kyodo News

 世界水泳の競泳の5日目に行なわれた男子200m個人メドレー決勝で、前夜の200mバタフライで銀メダルを手にした瀬戸大也が、自己ベストとなる1分56秒14で金メダルを獲得。競泳陣で最初の東京五輪内定を勝ち取った。

 瀬戸本人は、レース前から金メダルが取れそうな予感がありながらもそれを周りには話さず、「隠してました」と笑顔で振り返った。ほかの選手たちの状況と自分の調子を冷静に見極めながら、持ち前の勝負強さを生かしたすばらしいレースだった。

 最初のバタフライから積極的に飛び出し、50mを2位でターン。2種目目の背泳ぎでトップに立つと、平泳ぎ、自由形でも先頭を譲ることなく逃げ切った。逃げ切れた理由について、瀬戸は「耐乳酸トレーニングの成果が出ています。(レースの)最後はめっちゃキツかったですけど、最後まで体が動いてくれました」と話した。

 4月の日本選手権後にインタビューをした際、瀬戸は「やっと本物のアスリートになってきた気がします」とコメントしてくれた。その真意は、「アスリートとして自分が強くなるために、”やれることを全部やる”ようになってきた」ということ。その「全部やる」には、「自分がやりたくないトレーニングにも積極的に取り組む」ということも含まれるが、そのひとつが、乳酸を出しながら泳ぎ続ける能力を向上させるための耐乳酸トレーニングだ。

 大学時代に継続的にやっていた、休息時間を長めに取って50mを全力で泳ぎ続ける「ゴールセット」と呼ばれるトレーニングを、世界選手権に向けて再び週1回のペースで取り入れた。さらに別の耐乳酸トレーニングも、やはり週1回で実施。瀬戸自身が「一番嫌い」と語るトレーニングを積極的に取り入れたのも、勝つために必要だと感じたからだろう。

 また、「全部やる」の中のもうひとつが栄養管理だ。管理栄養士の指導と、妻の優佳さんのサポートもあって、普段の食事にも気を配りはじめた。

 その取り組みは今大会でも続いている。世界選手権は8日間あるため、大会の最初はベストコンディションでも、適切な栄養摂取を行なわなければ徐々にコンディションは崩れていく。瀬戸は今大会で個人3種目に出場しており、レースやウォーミングアップなど分刻みのスケジュールをこなしているが、その中でコンディションが崩れないよう、緻密に栄養摂取のタイミングがプランニングされているのだ。