挑戦者としての再スタート。坂井聖人が描く「東京で金」の復活プラン (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 千葉格●写真 photo by Chiba Itaru

「まずひとつは気持ち......心が折れてしまったこと。2つ目は左肩の痛みが原因ですね」

 2015年の10月頃、W杯で転戦していた時、外国人選手の左ターンに憧れて練習していた。そのとき、肩が絡まってゴキっとなり、2カ月間レースを休んだ。リオ五輪の時は痛みこそあったが気になるほどではなかった。それで銀メダルを獲れたが、その後、痛みが出て、違和感が続いたまま泳いでいた。

「腕を上に上げたとき、脇の奥に痛みが走るんです。水をキャッチする時に脇を使うんですが、痛みで自然にセーブしてしまう。結局、右手だけで掻くようになり、ビデオでレースを見ると左側に寄って泳いでいた。バタフライは両腕で、全力で水を掻くんですが、それができないんです。これじゃまずいと本格的に左肩を完治させるように治療しています」

 現在は60%程度の回復だが2、3か月後には完治できるという。

 故障のケアだけではなく、体のケアも念入りに始めた。大学を卒業した4月からは自炊し、栄養を考えて摂取するようになった。前はジャンクフードをはじめ、自分が食べたい物を食べて、それで結果が出ていた。栄養を考えて食事をするようになった今シーズンは結果が出なかったが、それでも継続している。

「まだ23歳ですが、大学生の時とは疲労の抜け具合が全然違うんです。学生の時はいくら練習してもピンピンして、夕食後、遊びに行くぐらいの余裕があったんですけど、今は練習終わりの疲労感がとんでもない。昼寝しないとやっていけない。だから、きちんと栄養を摂って、体をケアしないといけないと思って続けています」

 カロリー計算はしていないが、1日3食、米を6合ほど食べる。たまに昼飯を作るのが面倒に感じると大好きなラーメンや中華の定食を食べにいく。そのときはライスを追加注文する。また、ケーキから和菓子までOKという大の甘党だ。そうして練習のためにエネルギーを蓄えている。今は左肩の様子を見ながら、1日に5000mから6000mほど泳いでいる。 

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