池江璃花子が涙の6冠達成。
初日のレース後にある「決断」をしていた
【短期連載】松田丈志が解説!「パンパシ」・「アジア大会」(5)
池江璃花子、日本人最多の6冠達成―。
18歳飛躍の夏となった。
獲得したメダルを持って、いい表情を見せる池江璃花子と松田丈志
これまで国際大会に苦手意識のあった池江璃花子が、パンパシフィック水泳選手権とアジア大会で、その苦手意識を自分からも、そして周りからも完全に払拭したと言っていいだろう。
まず、8月9日に開幕したパンパシフィック水泳選手権。ここで池江は自身初となる国際大会での金メダル獲得を、もっとも得意とする100mバタフライで成し遂げる。
勢いそのままに挑んだアジア大会。競泳は今月19日から6日間に渡って行われた。現地入り後はパンパシの疲れや移動の疲れ、さらに選手村の部屋のシャワーの水量が弱い、食事が口に合わないなど、疲れと環境面に苦しめられる。
しかしレースが始まれば、好調な泳ぎを見せてくれた。初日に行われた女子4×100mリレーで24年ぶりに日本の金メダル獲得に貢献する。
ただ、池江はこのレースを終えてある決断をする。「今大会は勝負に徹しよう」
パンパシからの連戦で、思った以上に身体にダメージが残っていて、自己記録の更新は難しいと、本人が感じたと言うのだ。
池江はアジア大会で合計8種目に出場し、予選を含めると合計13レースを泳いだ。パンパシフィック選手権から合計すれば、25レースにもなる。その戦いを考えると、このアジア大会で、ひとつひとつのレースで記録更新を狙って泳ぐのではなく、最終日の最終レースまで、「パフォーマンスを保ち続ける」という目標を本人が定めた瞬間だ。
これまでの池江は常にタイムにこだわっていたが、今回タイムよりも勝つこと、強いて言えば金メダルを多く獲ることに目標を変えた。その決断が結果的にいずれの種目でも高いレベルで記録を安定させて大会を最後まで泳ぎきることに繋がった。
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