「恐怖の種目」200mバタフライのキツさを、スペシャリストが語る (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi photo by Enrico Calderoni/AFLO SPORT)

 過去の高地トレーニングのデータを見てみると、下山してから週間後目安としているトレーニングでベストアベレージを記録していたそうだ。そのことから今回は自分たちのレースから逆算して、週間前に下山するスケジュールを試したということだと思う。 

 それが結果としてどうだったのかは、私にはわからない。ただ、これまで安定して高いパフォーマンスができていた坂井が、今回はそれをできなかったことは確かだ。今回のチャレンジもすべて東京五輪を見据えてのものだから、この経験を今後に活かして、悔しさは次へのエネルギーに変えて頑張って欲しい。

 準決勝を1分54秒03の自己ベストで1位通過した瀬戸にも、金メダルのチャンスはあると思っていた。まだ余裕のある泳ぎだったし、本人も感覚より速かったということで、レース後は笑顔も見えていた。

 しかし、決勝レースはロンドン五輪の金メダリストのチャド・レ クロス(南アフリカ)がスピードを活かして前半から飛ばす展開。ここ数年は後半に失速することが多かったレ クロスだから、どこかで捉えられると思ったが、今回は最後まで逃げ切って金メダル。銀メダルには地元の声援を力に奮起したラースロー・シェー(ハンガリー)が入った。2人ともこの種目のベテランで、酸いも甘いも経験してきた選手ならではの「さすが」という泳ぎとレース運びだった。

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