32歳・松田丈志「リオ五輪では、うるさいオッサンの役目をやる」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

「ロンドン五輪まで久世(くぜ)由美子コーチとずっとマンツーマンでやってきて、金メダルには届かなかったけどひとつの結果が出た。『じゃあ、それ以上を目指そう』となったとき、違うやり方や方向性を探るという意味でも環境を変えてみようと思いました。

 これまで経験していなかったチームでの練習だったから、そこでのやり方を学ぶという気持ちがあったし、勉強にもなりました。でも、チーム練習だから当然のように、「こうしてみたらどうかな?」と思うようなことがあっても、そう自由にはできない。いざ、リオまでやろうと思ったとき、自分の競技人生で最後の挑戦になるだろうから、『こういうトレーニングをやってみたい』というのに目をつむってやるのは、ちょっときついなと......。

 それでふたたび、久世コーチとやるようになったんですけど、いろいろやってみなければわからなかったということはすごくあります。バタフライに関しては、今年の日本選手権も4位でダメだったけど、『恥ずかしい』というより、『やりきったな』という気持ちのほうが強いですね。『これ以上はできないだろう』というところまでやったことに誇りを感じているし、ひとつの財産になると思っています。先に辞めていった連中にも、『お前、途中であきらめただろう』と言えますから(笑)」

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