【水泳】萩野公介と渡部香生子、ふたりの4冠達成が示す意味 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 横山健太●写真 photo by Yokoyama Kenta

 初日の50mで日本記録にあと0秒03まで迫る31秒07で優勝し、「ウエイトトレーニングを始めているのでその効果も出て、練習でもいいタイムで泳げていた」と笑顔を見せていたが、9日の100m平泳ぎでは目標にしていた自身の日本記録1分05秒88には届かなかった。

「前半をあと0秒1くらい速く入りたかったが、後半も少しバテてしまった。最後はタッチを合わせようとして少し急いだ感じになってしまったのもよくなかった」と不満の表情を見せた。

 指導する竹村吉昭コーチも「元々キックがある程度かかりながら前へ進むのが持ち味なので、その比率を変えないで腕の掻きをうまく使えればと腕の強化をしているが、今日のレース後半は逆に腕の方が先にいってしまった感じになった」と語った。

 10日の200m個人メドレーでは「今日のレースは午後の1本だけだったのでしっかり集中して前半から速く入れた」と、昨年のアジア大会でマークした日本記録を0秒77上回る2分09秒81の日本新を出して優勝。

「まだこの記録だと世界選手権に出ても決勝に残るだけで終わってしまうので、夏に向けて2分9秒台前半を出せるようにしたい」と意欲を口にした。

 「こんな長い期間の大会は初めてなので」と言うように、連日レースを重ねた疲れと、自身が最も重要と意識している200mを迎えて連覇と4冠へのプレッシャーが襲いかかってきた。「自分にとって嫌なこともあって、気持ちがすごく落ち込んでしまってつらかった」という11日は、予選と準決勝では記録を伸ばせず、ともにトップ通過した中学3年の今井月(本巣SS)にも遅れをとる結果となった。

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