【世界水泳】メダル6個もトビウオジャパンに新戦力が台頭 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 若手の活躍に引けを取らず、ベテランの寺川も見事な戦いをした。最初の100mではライバルの調子を見て2~3位争いに照準をシフトし、後半勝負にして59秒23で3位を獲得。次の50mでは金メダルだけを狙うレースをして、先頭に食らいつきながらも、惜しい3位になった。そして、最後のメドレーリレーでは第1泳者で泳ぎ、58秒70の日本記録をマーク。

「思い通りにいかないこともたくさんあったけど、最後の最後まで戦う姿勢は失わなかったし、常にトップでいたいという気持ちを持って泳ぐことができました。周りからみればロンドンの方が出来が良かったと思われるかもしれないが、自分自身はすごくいい世界水泳にできた」と満足の笑みを浮かべる。

 また、メダルに届かなくても健闘したのは男子自由形短距離勢だった。中でも塩浦慎理は400mリレー決勝の第1泳者として泳ぎ、48秒68の自己ベストを出すと、100m予選では48秒52の4位で世界選手権では日本人初の準決勝進出を果たした。しかし、準決勝は48秒51の10位と惜しいレースとなった。

「勝負をするには最初からいくのが大事だと思って積極的なレースをした。準決勝が初だと言われているようじゃダメ、決勝に残って当然と思われるようになりたい」という塩浦は、50mでも準決勝に進出した。最終日のメドレーリレーでは47秒82のラップで泳いでロシアの追い上げを退け、アメリカの失格による銅メダル獲得の立役者になった。彼の勢いで他の選手もさらにやる気になるはずだ。

 他にも、萩野と外舘祥、小堀勇気、松田のオーダーで臨んだ800mリレーも、中国のエース・孫楊の猛追とフランスとの競り合いに屈する5位だったが、ゴール直前まで激しい3位争いをしてメダルも可能であることを証明した。平井ヘッドコーチも「今日はみんなすごく悔しい思いをしたが、3位には0秒21で差がないことを証明してくれた。自由形も今は中・長距離でアジア勢の活躍が目立っている。それも受け入れ、日本人でもできるんだと思わなくてはいけない」と高く評価する。

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