【世界水泳】メダル6個もトビウオジャパンに新戦力が台頭 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 一方、メダリストをみると、最終日の男子400m個人メドレーで瀬戸大也が金メダルを獲得したことが大きい。

 この種目では、すでに銀メダルを2個獲得していた萩野が優勝候補に挙がっていた。しかし、彼が獲得すると、結果として個人のメダル数は5と同じでも、萩野と寺川の2人だけがメダリストとなる寂しい状態になるところだった。

 中学時代から萩野と同種目のライバルとして競い合いながらも、昨年のロンドン五輪代表を逃した瀬戸は、ロンドンで萩野が銅メダルを獲得するのを見て発奮。五輪後は9月の国体で萩野を自己新の4分10秒10の記録で破り、その後もW杯を転戦して力をつけていった。すると12月の世界短水路選手権では、400mで優勝、200mで3位という結果を残し、ともに萩野を抑えた。

 今年に入ってからの長水路では萩野に逆転されていたが、今大会は400mにキッチリと合わせ、作戦通りの泳ぎをすると萩野をレース後半で逆転した。

「世界短水路の時も表彰台が選手入場口の上にあったけど、その時はW杯で結果を出していて自信もあったから、アップの時に上がって『ここに立つぞ!』と決心したんです。でも今回は下から見るだけで、メダルを獲るまであの景色を眺めないでおこう思いました。『絶対にあそこに立ってやる!』と決意していたんです」と語った。

 念願叶って立つことができた表彰台の真ん中から見た光景は、「すごかったし、とんでもなく気持ちよかった」と言って笑う。

 その瀬戸もW杯などでは平泳ぎにも出場する。今回、リレーを含めて7種目に出場した萩野と同じように、これから多種目に挑戦する可能性もある。その意味では萩野とともに、チームの主力を担う選手になる存在だ。

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