【大学駅伝】「スピード軍団」中大が2年生コンビで加速、復調気配の駒大は「夏に仕切り直し」 (3ページ目)
【主力が一気に卒業した穴をどう埋めるか】
中大や早大がトラックシーズンを引っ張るなか、沈黙を続けていたのが駒澤大だった。
関東インカレでは、2部のハーフマラソンで新谷倖生(4年)が7位に入賞したが、トラックでは入賞者が3000m障害4位の岸本莞爾(1年)と7位の牟田颯太(2年)の2名のみに終わっていた。
今回、ホクレン網走大会では、エースの桑田駿介(3年)が10000m27分台を目指してA組に出場したが、後半に失速して組8位、28分16秒24という結果に終わった。大学生では、國學院大の野中、髙石樹(2年)、中大の三宅に先着を許し、大八木弘明総監督も渋い表情だった。ロードでは無類の強さを発揮する選手だけに、駅伝シーズンの巻き返しに期待したいところだ。
そんななか、ようやく選手の明るい声が聞けたのが7月12日の網走記録会だ。10000mの4組で安原海晴(4年)が28分42秒95、菅谷希弥(3年)が28分44秒65で、ともにPBをマークしてワンツーフィニッシュ、新谷も8位で29分09秒66にまとめた。最終5組は井本正凪(2年)が28分53秒09、谷中晴(3年)はぎっくり腰のアクシデントがあるなか、28分54秒57でまずまずの走りを見せた。
ちなみに、6月のあおもりディスタンスチャレンジ2026の10000mで、新谷は29分04秒64、井本は28分40秒41、谷中は28分34秒14といずれもPBをマークしている。故障で戦列を離れていた主将の村上響(4年)も含めて、徐々にメンバーが揃いつつある。
小柄な体格ながら、ピッチ走法で小気味よい走りを見せる2年の井本はこう話す。
「昨年はケガで夏前は走っていなかったので、今年が駒大の練習をちゃんとできるようになって1年目という感じです。駒大は昨年までの強いイメージが世間にあると思うのですが、そこにレベルを戻さないといけないので、自分がエースになるぐらいの気持ちで頑張っていきたいです。箱根は走れるならどの区間でもいいですけど、上りの適性があると言われているので、5区を狙いたいと思っています」
藤田敦史監督も「楽しみな選手」と期待をかける。一方で、主力には少し厳しい視線が向けられている。
「中大や早大がトラックでかなりレベルの高い記録を出していますし、ホクレンでも國學院大のふたり(野中、髙石)が10000mで27分台を出しています。日本選手権も他大学から多くの選手が出ていましたが、うちはひとりもいなかった。田澤(廉)、(鈴木)芽吹(ともにトヨタ自動車)、篠原(倖太朗/富士通)、(佐藤)圭汰といった(強力な)エースがいなくなったから仕方ないよね、という考えで駅伝を戦いたくないので、桑田と谷中には突き抜けた存在になってほしいです。ふたりを他大学のエースにぶつけて、あとはその脇を固める選手を何枚増やせるか。それができなければ、駅伝では戦えないです」
全日本大学駅伝を制した昨季のチームからは、山川拓馬、佐藤、伊藤蒼唯(富士通)、帰山侑大(ヤクルト)が抜けた。頼れるエースたちが全員卒業してしまい、藤田監督がチームづくりに苦労しているのが見て取れる。
「チームづくりにおいて、圭汰たちが抜け、計算できる選手がいないというのは厳しいです。でも、嘆いていても仕方がありません。出雲はスピードがある1年生を軸にし、その間、上級生を走りこませて全日本に臨むつもりです。箱根は、夏から準備して、最低限シード権を守れるぐらいの地力をつけていかないといけない。だいぶ苦労すると思いますが、ようやく4年生が『やろうぜ』という意識になっていますし、下級生もそれに引っ張られてついてきている。この夏は仕切り直しです」
仕切り直しの夏を越え、駅伝シーズンにどんな姿を見せるのかに注目したい。
前編を読む>>>箱根優勝を狙う早大がホクレンでも充実、創価大は期待の13分台ルーキーたちが躍動
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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