検索

【箱根駅伝2026】大物ルーキー・鈴木琉胤(早稲田大)が箱根に刻んだ規格外の4区区間賞 「圧倒的な個」を磨き、さらなる高みへ (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Satoshi Wada

【他人事のように振り返る「規格外の快走」】

 そもそもの設定タイムは1時間00分45秒。これは4区の早大記録よりも1分以上速いうえに、歴代4位に相当する。鈴木自身も「ちょっと無理な感じ」と捉えていたほど高い設定だった。とはいえ、花田監督は現実に則した目標を立てる指導者だ。鈴木に高い期待を寄せているのももちろんあったが、直前の状態等を見て、決して無理ではないと判断したうえで設定したのだろう。鈴木も「忠実に守ろうと思った」と話し、その高い目標に目を背けなかった。

 鈴木が20km超をレースで走るのは今回が初めて。

「走れるとは思っていたんですけど、どこまで全力を出していいのかがわからないのが怖かったです」

 そんな不安も抱えてレースに臨んだ。

 ところが、いざ平塚中継所を出発すると堂々とした走りを披露した。

 鈴木がタスキを受けたのは4位。3位の駒澤大までは41秒、2位の城西大には50秒の差があった。

「(駒大の)村上さん(響/3年)が強いので、とりあえず前が見えないとなあと思って、最初から突っ込みました」

 入りの1kmは2分43秒で「いい感じだな」と思ったという。しかし、3kmでタイムを確認すると8分32秒。自分では快調にペースを刻んでいるつもりだったが、ペースが少し落ちていた。「あっ、俺、調子が悪いのか......」と思った。

 そんな時に脳裏に浮かんだのが、走る直前に花田監督から言われた言葉だった。

「『タイムを気にせず、感覚で行け』って言われていたので、そこから10kmまではけっこう淡々と走りました」

 10kmの通過は「28分24秒ぐらい」。想定よりも20秒前後速かったが、まだまだ余裕はあった。とはいえ、未知の領域に踏み入る怖さもあり、それ以上ペースを上げることはしなかった。

 そんな鈴木がリミッターを外したのはラスト3kmを切ったぐらいからだった。それまでも力感はなくともハイペースを刻んできたが、ここから一段ギアを上げた。

 酒匂橋の定点(15.2km)ではヴィンセントの区間記録ペースよりも20秒以上遅れていたが、ペースアップし、最終的には区間記録に肉薄した。

「走り終わったら意外と速くて、けっこうビックリしました」

 自身の快走を他人事のように振り返るが、規格外の快走だった。

 5区は八千代松陰高(千葉)からの先輩でもある工藤慎作(3年)。4区から5区へのタスキ渡しは、東海道から少し左に入った側道で行なわれるが、勢い余って片手渡しになったほど、鈴木は勢いよく中継所に駆け込んだ。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る